単純性股関節炎について
単純性股関節炎とは
単純性股関節炎は小児の股関節痛の1番多い原因です。通常1〜2週間程度の経過観察あるいは安静にて治癒するためobservation hipとも呼ばれます。
その原因として、外傷、感染、アレルギーなどの説がありますが、はっきりとした原因は不明です。非特異性滑膜炎と考えられています。ほかの重要な疾患であるPerthes(ペルテス)病、化膿性股関節炎などとの鑑別が重要となります。
好発年齢・性差
発生年齢は、そのほとんどが3〜10歳(平均6〜7歳)であり、3:2〜5:1で男児に好発します。通常単関節(一つの関節)に発症し、両側同時発症や、多関節発症例はありません。
単純性股関節炎の症状
主な症状は股関節痛であり、大腿の前・内側から膝にかけての痛みを訴えることが多いです。異常歩行を主訴とすることも多く、症状の強い場合には歩行困難例もあります。患者の患肢は外転・外旋位をとり、ときに見かけ上で患肢が長くみえます。関節可動域は軽度〜中等度制限されます。
レントゲン所見
単純X線像で骨の異常はありません。関節液の貯留により関節包陰影が上・外側に膨隆します。 貯留が著しくなると大腿骨頭の側方化が起こり、内側関節裂隙の拡大が認められます。 エコー検査やMRIで関節貯留が明らかになります。鑑別診断
Perthes病、化膿性股関節炎、股関節結核などの初期像との鑑別が非常に重要です。 Perthes病の初期とは鑑別がつかないことが多いため、2〜3ヶ月X線学的経過観察が必要です。 化膿性股関節炎とは炎症症状の有無、血液学的検査値の異常で鑑別出来ますが、不明な場合には積極的に関節穿刺を行い鑑別します。当院の治療方法
安静によって2〜4週間で改善します。症状が強い場合には、入院となり、ベッド上安静、牽引などを行います。